婚活のリアルを書き続けてきた仲人。鎌田れいさんが考える“幸せな結婚”への最短距離

婚活の現場を長年ライターとして言葉にしてきた鎌田れいさんに、出会いが増えた時代だからこそ大切になる“幸せな結婚”への向き合い方を伺いました。選びきれない時代の婚活に必要な覚悟、行動力、許容とリスペクトについて考えます。

〈聞き手=笠原 佳介〉

今回話を聞いた人

鎌田れいさん
鎌田 れい
Rei Kamata

最短結婚ナビ / 代表・仲人・ライター

結婚相談所「最短結婚ナビ」代表。婚活の現場を長年取材・執筆してきたライターでもあり、東洋経済オンラインの連載「仲人はミタ」などを通じて、婚活者の迷いや現場のリアルを言葉にしてきた。仲人としても、幸せな結婚に向かうための行動や覚悟を大切にした支援を行っている。

婚活は、年々変わっている。

かつては、結婚相談所で真剣交際に進めば、そのまま結婚まで向かうケースも多かった。けれど今は、出会いの選択肢が増えたことで、かえって一人を選びきれなくなる人もいる。

100人、200人と会っても決められない人もいます

そう話すのは、結婚相談所「最短結婚ナビ」を運営する鎌田れいさん。

鎌田さんは、東洋経済オンラインの連載「仲人はミタ」をはじめ、婚活の現場を長年言葉にしてきたライターでもある。若い頃から雑誌、少女小説、人物ドキュメント、芸能人インタビューなどを通じて、人の恋愛や人生を文章にしてきた。

その鎌田さんが、仲人として婚活者に伝えているのは、単に「たくさん会いましょう」ということではない。

出会いが増えたからといって、結婚に近づくとは限らない。

必要なのは、自分に合う相手を見つけ、その人と幸せになる覚悟を持つこと。

婚活のリアルを言葉にしてきた鎌田さんは、いま仲人として、どのように婚活者と向き合っているのか。
“幸せな結婚”への最短距離について話を伺った。

若い頃から、誰かの恋愛や人生を文章にしてきた

笠原

鎌田さんは、もともとライターとして長く活動されていますよね。最初にライターになったきっかけから伺ってもよろしいでしょうか。

鎌田さん

きっかけは、知り合いにカメラマンの方がいたことなんです。その方が芸能関係のカメラマンをされていて、あるとき街でばったり会ったんですね。

そのときに、「Popteenという雑誌で、素人の告白ものを書ける人を探しているみたいなんだけど、やってみない?」と声をかけてもらいました。

恋愛の話や女の子たちの体験談を何本か書いていたら、編集部の方から「うちでライターをやらない?」と言っていただいて。そこからレギュラーページを持たせてもらうようになりました。

笠原

そこからライターの世界に入っていったんですね。

鎌田さん

そうですね。人づてでライターになっていった感じです。

当時は、雑誌にすごく勢いがあった時代でした。テレビも雑誌も元気があって、女性がライターとして仕事をして、それで生活が成り立つ時代だったんです。

その後、音楽雑誌や少女向けの雑誌も紹介していただいて、いくつかの媒体で書くようになりました。27歳から31歳くらいまでは、講談社のX文庫で少女小説も書いていました。

笠原

少女小説も書かれていたんですね。

鎌田さん

そうなんです。今では考えられないですけど、当時は1冊書くとまとまった金額になる時代で、2か月に1冊くらいのペースで書いていました。ライターの仕事も並行していたので、その時期はかなり安定していました。

その後は、JUNONでアイドルや芸能人のインタビューをしたり、週刊誌で人物ドキュメントを書いたりもしていました。人の人生を取材して、6ページくらいの記事にまとめるような仕事ですね。

笠原

そう考えると、鎌田さんは婚活ライターになる前から、ずっと人の人生や感情を文章にされてきたんですね。

鎌田さん

そうですね。芸能人の方や文化人の方、経営者の方など、いろいろな人にインタビューしてきました。誰かの話を聞いて、その人の体験を文章にするということは、若い頃からずっとやってきたことだと思います。

婚活を外から書くのではなく、現場に立って書く

笠原

そこから、なぜ結婚相談所を立ち上げることになったのでしょうか。

鎌田さん

30代に入った頃から、紙媒体の状況がだんだん厳しくなっていったんです。

昔はページ単価で原稿料をいただけていたのが、文字単価になっていったり、媒体自体が弱くなっていったり。私もライターを続けていましたが、このままライターだけでやっていくのは難しいかもしれないと思うようになりました。

私は36歳で結婚して、40歳で双子を出産しました。その後もライターは続けていましたが、将来的に自分で自立していける仕事を持っておきたいという気持ちがありました。

そこで、結婚相談所を立ち上げたんです。

笠原

結婚相談所だったのは、婚活の記事ともつながりがあったからですか。

鎌田さん

そうです。婚活記事を書きながら、相談所もできると思ったんです。

婚活ライターさんはたくさんいます。でも、実際に現場に出ている人は少ないんですね。私は、相談所の現場にも出て、そこで起きていることをリアルに書けると思いました。

だから、ライターと結婚相談所を両方やっていく形にしたんです。

笠原

「現場にも出て、リアルに書ける」というのは、鎌田さんならではの強みですね。

鎌田さん

そうですね。最初は相談所の集客も全然うまくいかなくて、ブログを書いているだけでした。

でも、他の人と違うことをしないと集客できないと思ったときに、「私はライターだったんだから、これまで関わってきたメディアを使えばいい」と考えました。

そこで、当時『週刊女性』の編集長をしていた知人に、「3週連続でいいから、無料で婚活記事を書かせてほしい」とお願いしたんです。

笠原

そこから婚活記事を書き始めたんですね。

鎌田さん

その3本の記事が、誌面の中でも反応がよかったんです。

その後、東洋経済オンラインの副編集長が来る異業種交流会があると知って、そこに行きました。そして「週刊女性で婚活の記事を書いているので、読んでいただけませんか」とお渡ししたら、「うちで連載をやりませんか」と言っていただいて。

そこから、東洋経済オンラインでの連載が始まりました。

笠原

それが「仲人はミタ」につながっていくんですね。

鎌田さん

そうです。当時の東洋経済オンラインはとても強くて、Yahoo!ニュースにもよく載っていました。そこから週刊女性PRIMEやオトナンサー、日経WOMANなど、いろいろなところから婚活記事の依頼が来るようになりました。

いまも続いているのは、東洋経済オンラインとオトナンサーですね。

婚活は「出会えない時代」から「選べすぎて決められない時代」へ

笠原

鎌田さんは、長く婚活の現場を書き続けてこられています。いまの婚活は、昔と比べてどう変わってきたと感じますか。

鎌田さん

年々変わってきています。

以前は、結婚相談所で真剣交際に入ると、そのまま結婚まで進むことが多かったんです。もちろん交際終了になることもありましたが、今ほど真剣交際に入ってから崩れるケースは多くなかったと思います。

でも今は、選べる母数が大きくなりました。アプリもありますし、相談所のデータベースもあります。出会える人数が増えたことで、比較対象も増えたんですね。

笠原

出会いが増えたことで、結婚しやすくなったわけではないんですね。

鎌田さん

そうです。100人、200人と会っても決められない人もいます。

婚活をしていると、「もっといい人がいるかもしれない」と思ってしまうんです。少し価値観が違う、少し気になるところがある。そうすると、欠点ばかりが目について、減点思考になってしまう。

でも、人間には欠点があります。100%合う人はいません。だから、どこかで「この人と幸せになる」という覚悟が必要なんです。

笠原

その「覚悟」は、婚活においてかなり大きなテーマですね。

鎌田さん

大きいと思います。

もちろん、違和感を無視して進めばいいということではありません。でも、完璧な人を探し続けると、いつまでも決められなくなる。

10人くらい会った段階で、「この人と幸せになる」と思えるかどうか。そこを考えられる人は、結婚に進みやすいと思います。

“最短”は、焦らせることではなく、結婚に向かう行動を積み重ねること

笠原

「最短結婚ナビ」という名前にもつながりますが、鎌田さんにとって“結婚への道筋”とはどういうものなのでしょうか。

鎌田さん

私がいつも言っているのは、「お見合い三回の壁」というものです。

心理学に、最初に会ったときに第一印象を見て、二回目に会ったときに一回目との誤差を確認して、三回目でその人が自分の中にセットアップされる、という考え方があるんです。

お見合いも、一回目、二回目、三回目がトントンと進むと、意外と成婚まで行くんですね。

だから、迷ったお見合いは断ってもいいし、その三回目までにトントントンといけるかどうかですよ、というのはいつもお伝えしています。

笠原

三回目までが大事なんですね。

鎌田さん

そうです。

たとえば土日にお見合いをして、当日か翌日にファーストコールをします。そのファーストコールで必ず次に会う日を決める。次の土曜日に二回目、その次の土曜日に三回目と進むと、二週間で三回会えるわけです。

もっと短くするなら、お見合いをしたあと、水曜日か木曜日に会社終わりに軽くご飯を食べに行って、次の土日にまた会う。そうすると、一週間で三回会えます。

まず行動力がないと、婚活で結婚はできません。

笠原

仕事が忙しくて難しいという方もいそうですね。

鎌田さん

「仕事が忙しいので、落ち着いたら連絡します」という方は、婚活も苦戦する傾向にあります。

ちゃんと一週間に一回会える方、毎日LINEができる方。そういう行動力を持てる人じゃないと、成婚は難しいと思います。

よく「仕事だけしてこの年になっちゃいました」と言う方もいます。でも、「では、あなたの同期は誰も結婚していないのですか?」と聞くと、結婚していないのはその人だけだったりすることもあります。

同じ職場に、結婚している人と結婚していない人がいる。そう考えると、仕事だけが理由ではないと思うんですね。

その人が、いかに結婚を自分のライフスタイルの中に入れていたか。そこが大きいと思います。

笠原

結婚したいなら、結婚に向かう行動を生活の中に入れる必要があるんですね。

鎌田さん

そうですね。仕事だけしていたというのは、理由にはならないと思います。

婚活は「選ぶ活動」であると同時に、「選ばれる活動」でもある

笠原

鎌田さんは、婚活では行動力が大事だとお話しされていました。ほかに、会員さんによく伝えていることはありますか。

鎌田さん

婚活って、婚活という市場にあなたを棚卸しすることなんです。

棚卸しをしたときに、商品がいっぱい並んでいる。その中で、お見合いによって手に取られるわけです。

でも、手に取られたときに、それを選ぶ理由がなければ、棚に戻されてしまうんです。

だから、自分がいいと思った人に対しては、待ちの姿勢だけではだめです。いかに自分が選んでもらえるかをアピールしなければいけない。

婚活は、ある意味では勝ち抜き戦です。ぼーっとしていて、選んでもらって結婚できるものではありません。

笠原

かなり現実的な表現ですね。

鎌田さん

いいと思った人がいたら、自分がいかにその人に選ばれるかを考えないといけないと思います。

そのためには、小さなアピールが大事です。たとえば、相手を褒めること。ごちそうしてもらったら、「この間はごちそうになってありがとうございました」と言って、小さなプレゼントを持っていくこと。

男性にごちそうされるだけではなく、「この間は夜ごちそうになったので、今日のランチ代は私に出させてください」と言える女性と、言えない女性だったら、できる女性の方が選ばれると思います。

笠原

ごちそうする、されるという話も、お金の問題というより、相手への気持ちの示し方に近いのでしょうか。

鎌田さん

そうです。

ごちそうするというのは、相手に対するおもてなしの気持ちだと思うんです。

「今日はお会いできて楽しかったです。僕はあなたと知り合えて嬉しいので、今日は僕にごちそうさせてください」と言える男性と、同じ条件で割り勘を当然と考える男性がいたら、やっぱり前者の方が選ばれると思います。

ただし、ただごちそうすればいいという話ではありません。話が合わない人にごちそうされるより、割り勘でもすごく気が合う人を選ぶ女性もいます。

その時その時で違いますが、基本としては、相手に対して「来てくれてありがとう」「会ってくれてありがとう」という気持ちをどう伝えるかだと思います。

笠原

受け取った側も、お返しすることが大事なんですね。

鎌田さん

そうです。

ごちそうされたら、ただ単にごちそうされればいいと思わない方がいい。小さなお土産を持っていくとか、お返しをする。

そういうことが、棚に戻されないコツだと思います。

背中は押す。でも、決めるのは本人

笠原

仲人として、会員さんにどこまで意見を伝えるかは難しいところだと思います。鎌田さんは、会員さんの決断にどのように関わっているのでしょうか。

鎌田さん

もちろん、自分の意見は言います。

でも、最終的に決めるのは本人です。これはあなたの婚活であって、私の婚活ではないからです。

仲人の中には、「この人のここがいいじゃない」と言って、なんとかまとめようとする方もいると思います。でも、本人が違和感を持っているなら、私は無理に進めません。

笠原

成婚させたいからといって、仲人側の都合で押し切るわけではないんですね。

鎌田さん

そうです。

最初に「どうかな」という違和感があった人と、その後成婚した試しってあまりないんです。もちろん、後から印象が変わることもありますが、最初の違和感は大事にした方がいい。

ただ、結婚するのは本人ですから。仲人はそのように助言はしますが、代わりに人生を決めることはできません。

幸せな結婚に必要なのは、許容とリスペクト

笠原

鎌田さんは、幸せな結婚生活には何が必要だと思いますか?

鎌田さん

私が会員さんによく伝えているのは、「許容」と「リスペクト」が重要だということです。

結婚って、違う人生を歩んできた者同士が一緒に暮らすことですよね。だから、自分が思っていることと違う考え方をすることもあるし、意見が合わないこともある。

そのときに、我慢すると考えるか、許容すると考えるかは、その人次第だと思うんです。

笠原

許容というのは、我慢とは少し違うのでしょうか。

鎌田さん

たとえば、ご飯を一緒に食べようと思って、奥さんが用意して待っていたとします。でも旦那さんが、「会社で相談があると言われて、一緒に食べて飲んできちゃった」と帰ってきた。

そのときに、「私は作って待っていたのに」「私は食べないで待っていたのに」と怒るのか。あるいは、「そうなんだ」と言って、作ったものを冷蔵庫にしまうのか。

同じ出来事でも、どう受け止めるかはその人次第ですよね。

笠原

何でも飲み込むというより、自分とは違う相手と暮らす中で、その違いをどう受け止めるかが大事だということですね。

鎌田さん

そうだと思います。

もちろん、何でも我慢すればいいという話ではありません。でも、結婚生活では自分と違う人と暮らしていくわけですから、相手の違いをどう受け止めるかは大事だと思います。

それから、絶対に忘れてはいけないのは、相手を人としてリスペクトすることです。

「女だからこうしろ」とか、「男なんだからこうしろ」ということではなく、人としてちゃんとリスペクトできるかどうか。人としてリスペクトしていたら、相手を強く否定したり、傷つけたりするような言葉は出てこないと思うんです。

笠原

条件が合うかどうかだけではなく、相手を一人の人間として尊重できるかが大切なんですね。

鎌田さん

そうですね。

条件が合っていても、相手を見下したり、否定したりする関係では、長い結婚生活は難しいと思います。

人を無理に変えるのではなく、その人に合う人を探す

笠原

鎌田さんのお話を伺っていると、婚活では現実的なこともかなりはっきり伝えられている一方で、会員さんを無理に変えようとしているわけではないようにも感じます。

鎌田さん

人の性格は、そんなに簡単には直らないと思っています。

もちろん、婚活で必要な行動や、相手に伝わりやすいコミュニケーションはあります。それはお伝えします。

でも、その人の根本的な性格を無理に変えようとは思いません。

笠原

自分を無理に変えるというより、自分に合う人を見つけるということでしょうか。

鎌田さん

そうですね。

すべての人に合う必要はありません。あなたはあなたに合う人を見つければいいと思います。

そのためには、自分がどういう人間なのか、どういう相手とならうまくいくのかを考える必要があります。

婚活は、相手を探す活動でもありますが、自分を見つめる活動でもあると思います。

書くことと、伴走すること。その両方で婚活の現場に向き合う

鎌田さんの言葉には、婚活の現場を長く見てきた人ならではの現実感がある。

100人、200人と会っても、決められない人はいる。
仕事が忙しいだけでは、結婚できない理由にはならない。
婚活は、選ぶ活動であると同時に、選ばれる活動でもある。

その言葉は、ときに耳が痛い。

けれど、鎌田さんは、婚活者を突き放すために現実を語っているわけではない。

結婚には、相手と向き合う行動力が必要になる。
「この人と幸せになる」と決める覚悟が必要になる。
そして、長い結婚生活には、許容とリスペクトが必要になる。

鎌田さんは、婚活の現場をただ外側から書いてきた人ではない。
現場に立ち、会員と向き合い、その中で起きていることを言葉にしてきた人だ。

だからこそ、鎌田さんの語る“最短距離”は、単に早く結婚するための近道ではない。

出会いの数を増やすことではなく、
自分に合う相手を見つけ、必要な行動を取り、その人と幸せになる覚悟を持つこと。

婚活のリアルを書き続けてきた仲人は、今日も現場で誰かの迷いに向き合いながら、その人にとっての結婚への道筋を一緒に考えている。

「最短結婚ナビ」鎌田れい
「最短結婚ナビ」の鎌田れいさんでした

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