「この人、本当にいい人なのよ」を届けたい。和田充里さんがプロフィールの外側でつなぐご縁

年齢や年収だけでは見つからないご縁を、仲人同士のつながりから探していく。ライフツリー代表・和田充里さんは、プロフィール交換会や日々の対話を通じて、会員さんの人柄や魅力を別の仲人へ届けています。断られた経験を次の出会いへつなげる支援や、会員さんと対等に向き合う姿勢について伺いました。

〈聞き手=笠原 佳介〉

今回話を聞いた人

和田充里
和田 充里
Mitsuri Wada

ライフツリー / 代表・仲人

2002年より大手結婚相談所でカウンセラーとしてのキャリアをスタート。サンマリエ、パートナーエージェントで経験を積み、数多くの婚活支援に携わる。2012年に結婚相談所「ライフツリー」を開業し、一人ひとりに合わせた婚活支援を行っている。2023年からは、結婚相談所事業者向けのコンサルタントとしても活動。産業カウンセラー、心理カウンセラー、子育てアドバイザーの資格を持つ。

なぜこの人に聞くのか

和田さんは、システム上の条件だけで相手を探すのではなく、プロフィール交換会や仲人同士の信頼関係を通じて、会員さんの人柄まで伝えながらご縁を探しています。本人の意思を尊重しながら選択肢を広げる支援とは何か。仲人がシステムの外側でできることについて伺いました。

取材の途中、ライフツリー代表の和田充里さんがスマートフォンを取り出した。

「この赤ちゃん、見て。かわいいでしょう」

画面に映っていたのは、かつて和田さんたち仲人がつないだ夫婦のもとに生まれた赤ちゃんだった。

夫婦は、出会った当時45歳と39歳。どちらにも交際経験がなかったという。二人が出会うきっかけになったのは、年齢や年収などの条件から相手を探すシステムではなく、仲人同士が会員のことを直接伝え合う「プロフィール交換会」だった。

仲人から「この二人を会わせてみようか」と提案され、初めて会った二人。人生で初めてのデートでは、水族館を訪れた。何もかもが初めてだった二人は、少しずつ関係を育み、結婚した。

プロフィールに並ぶ条件だけでは、出会わなかったかもしれない二人。その間には、画面上に表れない人柄を知り、「この人なら」と考えた仲人たちがいた

仲人同士の信頼関係を大切にしながら、システムの外側でも会員のご縁を探し続ける和田さん。プロフィールだけでは見えない魅力を、どのように相手へ届けているのか。婚活者が自信を失わずに前へ進むために、仲人は何ができるのか。

和田さんが考える「人の手でご縁をつなぐ」という仕事について聞いた。

プロフィールに映るのは、その人の一部だけ

笠原

和田さんは、仲人さん同士の横のつながりをとても大切にされていますよね。

和田さん

そうですね。普段から、親しい仲人さん達とはよく会って情報交換したり勉強会しています。月の3分の1くらいは、仲人さんたちと会ったりしているかもしれません。

もともと人が好きですし、人との付き合いを大切にしたい方なんです。同じ仕事をしているからこそ分かる悩みもありますから、仲人同士で話すこと自体も大事だと思っています。

それに、会員さんのためにも、横のつながりは必要です。

笠原

会員さんのため、というのはどういうことでしょうか。

和田さん

プロフィールには、基本的にその人のいいところが書かれていますよね。写真も、その人が一番よく見えるものを使います。仲人の推薦文にも、もちろん魅力を書く。

でも、プロフィールはある程度、平面的なものだと思っています。それだけを見て、「すごくいい人だから、この人と会わせたい」とまでは、なかなか判断できません。

実際に仲人さんから話を聞くと、プロフィールには書かれていない、本当の人柄が見えてきます。

笠原

仲人さん同士だから聞ける話があるんですね。

和田さん

ありますね。

その会員さんがどんな性格なのか。仲人とのやり取りではどんな態度なのか。家庭を持ったら、どんな夫や妻になりそうなのか。長く会員さんと接している仲人だからこそ分かることがあります。

親しい仲人同士であれば、いいところだけではなく、気をつけた方がいいところも含めて話せます。お互いに信頼関係があるからこそ、安心して自分の会員さんへ紹介できるんです。

プロフィール交換会の様子
プロフィール交換会の様子

「この人、本当にいい人なのよ」を届ける

笠原

システム上では見えにくいけれど、和田さんが会員さんと接する中で見つけた魅力もありますか。

和田さん

たくさんあります。

たとえば、年収がそれほど高くなくても、「この人、本当にいい人なのよ」と思う方はいます。

うちにも、申し込んでもなかなかお見合いにつながらない男性がいるんです。条件面で目立ちにくい方は、システムの中で埋もれてしまうことがあります。

でも、その方は本当にいい人なんですよ。

私が「一度会ってみたら」と紹介した方には、きちんと会ってくれます。プロフィール交換会で相手を探してきたと伝えると、「僕のために行ってくれて、ありがとうございます」と言える。

そういうことは、プロフィールには書かれていませんよね。

だから仲人さんたちに、「この人は本当にいい人だから、私は太鼓判を押せる」と伝えるんです。すると、「そんなにいい人なの?」と興味を持って、自分の会員さんへ話してくれることがあります。

笠原

年収や写真だけでは選ばれなかった人が、仲人さんの言葉によって見つけてもらえる。

和田さん

そうですね。

プロフィール交換会には、システムだけでは魅力が伝わりにくい方を仲人が持ち寄ることも多いんです。

条件だけでは埋もれてしまう方を、自分の言葉でほかの仲人へ伝えることに意味があります。

笠原

「この会員さんを、なんとか結婚につなげたい」と思ったとき、和田さんはどのように動くのでしょうか。

和田さん

いろいろなプロフィール交換会に出ます。

「誰かいませんかね」「この方に合いそうな方はいませんか」と、何度も探します。交換会に並んでいるプロフィールだけでなく、仲人さんと仲良くなることで、「実は、こんな会員さんもいるんだけど」と、表には出していなかった方を紹介してもらえることもあります

システムで検索して終わりではなく、その外側でも私たちが動く。そこは会員さんにも、とても感謝していただけます。

カウンセリングの様子
カウンセリングする和田 充里さん

仲人同士の会話から始まった、二人の結婚

笠原

プロフィール交換会から、実際に結婚へつながった印象的なご縁はありますか。

和田さん

先ほど見せた赤ちゃんのご両親も、そうですね。

出会った当時、男性は45歳、女性は39歳で、二人とも交際経験がありませんでした。仲人同士で話して、「この二人を会わせてみようか」となったんです。

男性は「何も分からないので、教えてください」と言える方でした。初めてのデートでは、人生で初めて水族館へ行ったそうです。二人とも比べる相手がいないから、全部が初めてだったんですよね。

でも、少しずつ二人で経験を重ねて、結婚しました。今ではお子さんも生まれています。

笠原

システム上の条件だけではなく、仲人さんが二人の相性を考えたから生まれたご縁なんですね。

和田さん

そうですね。

別の女性会員さんで、仕事がとてもできて、収入も高い方がいました。仕事が忙しいので、「家庭のことを支えてくれる男性がいい」と話していたんです。

でも実際にシステムで選ぶのは、自分と同じように収入の高い男性ばかりでした。言っていることと、選んでいる相手が少し違っていたんですね。

そんなとき、プロフィール交換会で、別の仲人さんから穏やかな男性を紹介されました。とても優しい方でしたが、会話はあまり得意ではありませんでした。

笠原

最初から意気投合したわけではなかったのでしょうか。

和田さん

最初に会ったとき、女性は「あまり話せない人で、どうかな」と迷っていました。

でも私は、「もう一度だけ会ってみたら」と伝えたんです。その人と結婚しなさいと言っているわけではないのだから、もう一度会ってから考えてもいいでしょう、と。

最初に話したとき、女性が「甘いものはあまり好きではないけれど、チーズケーキだけは食べられる」と話したそうです。すると男性はそれを覚えていて、次に会うとき、冬の寒い日に人気店へ並んでチーズケーキを用意してくれました。

女性が高い建物やタワーが好きだと知ると、景色の写真を送ってくれることもあったそうです。

上手に話すことはできなくても、相手の言葉を覚えて、行動に移せる。女性はそこに、彼の温かさを感じたんですね。二人は何度か会ううちに関係を深め、結婚しました。

笠原

会話の華やかさとは違う部分に、その人の魅力があった。

和田さん

そうなんです。

最初の1時間だけで判断していたら、終わっていたかもしれないご縁です。でも、結婚生活で本当に大切なのは、話が上手なことや、今の年収だけとは限りません。

人生には何があるか分かりませんから。何かあったときに、お互いを支えられる人なのか。その方がずっと大事だと思います。

断られた経験を、次の出会いにつなげる

笠原

婚活を続ける中で、断られることで自信を失ってしまう方もいると思います。

和田さん

そうですね。お見合いで断られれば、自信を失ってしまうこともあります。仲人として、それを完全に防ぐことはできません。

だからこそ、どうすれば次へ進めるのかを本人に寄り添いながら一緒に考えていきます

特に男性がお見合いで断られたときは、相手の相談所から具体的な指摘が返ってくることがあります。まずは本人がどのように感じたのか、どんな時間を過ごしたのかを聞いたうえで、相手側にも理由を確認します。

「目を合わせなかった」「ネガティブな話が多かった」「自分の話ばかりしていた」など、改善できることがあれば伝え、次のお見合いに進んでもらいます。

ただ断られて終わりではなく、その経験を次へつなげるんです。

笠原

本人へ伝えるときは、傷つけないようにする必要もありますよね。

和田さん

伝え方は、その方によって変えます。

はっきり言った方がいい方もいれば、少しやわらかく伝えた方がいい方もいます。あえて詳しい理由を伝えない方がいい場合もあります。

大切なのは、次のお見合いが少しでもよくなるようにすることです。

笠原

会話が苦手な方には、どのような支援をしていますか。

和田さん

お見合いの前に、1時間ほど早く会うこともあります。

「今日はどんな話をするの?」「プロフィールを見ると、ここに共通点があるね」と、一緒に考えます。

質問を次から次へと投げるのではなく、一つの話を少し深く聞くこと。相手に質問するだけではなく、自分の話もしたうえで「あなたはどうですか」と返すこと。そういう会話の仕方も伝えます。

質問することばかり考えていると、相手の話が頭に入らなくなってしまいますから。

服装や姿勢、目線なども含め、一つひとつ改善していきます。アドバイスを一度受け止めて実践できる方は、どんどん変わっていきますよ。

笠原

実際に、婚活を通して自信を持てるようになった方もいますか。

和田さん

何人もいます。

歩き方や姿勢、話し方まで変わってきます。結婚後に会ったら、以前よりずっとよく話すようになっていて、驚くほど変わった男性もいました。

交際経験がなければ、お店選び一つでも「これでいいのだろうか」と不安ですよね。でも相手と話し、自分を受け入れてもらい、少しずつ相手の気持ちを感じられるようになる。その積み重ねが自信になるのだと思います。

やめるのは簡単。でも、もう一度会った先に結婚があることも

笠原

うまくいかなかった理由を改善する一方で、まだ可能性のあるご縁を早く終わらせないようにすることも、仲人の役割なのでしょうか。

和田さん

そうですね。「もう一度会ってみたら」と伝えることはあります。

もちろん、どうしても受け入れにくい部分がある、話していて強い違和感があるなど、明確な理由があれば無理に会う必要はありません。

でも、「悪い人ではなかったけれど、少し自分の話が多かった」「一度会っただけでは、よく分からなかった」という程度なら、もう一度会ってから決めてもいいと思うんです。

やめるのは簡単です。でも、そこで次にもう一度会い、結婚していった方をたくさん見てきました

笠原

一人で婚活していると、自分の判断だけで早く縁を切ってしまうこともありそうです。

和田さん

そうですね。

本人は緊張していたのかもしれない。会話が苦手でも、相談所から伝えれば次は改善できるかもしれない。仲人が間にいれば、そうした可能性も考えられます。

結婚相談所には、週に一度は会う、交際中の状況を報告するといった、関係を進めるための仕組みもあります。

一度会っただけで強く惹かれる人ばかりではありません。特に女性は、何度か会いながら相手を総合的に見て、ゆっくり気持ちが上がっていく方も多いんです。

その人の気持ちやペースを見ながら、続けるべきか、終えるべきかを一緒に考える。それも仲人の役割です。

上でも下でもなく、会員とは対等でいたい

笠原

和田さんは、仲人として会員さんとどのような立ち位置で向き合いたいと考えていますか。

和田さん

上でも下でもなく、対等な関係ですね。

会員さんからお金をいただいている以上、成果につながるよう、私も動かなければいけません。一方で、本人も頑張って動かなければ、結婚にはつながりません。そのことは入会時にきちんと伝えています。

仲人が上から命令して、言うことを聞かせればいいとは思っていません。

笠原

厳しい指導をする仲人さんもいると思います。

和田さん

そういう方法もあると思います。でも、人は自分で気づかないと、なかなか動けません。

誰かに言われたから変わるのではなく、自分で「このままではいけないかもしれない」と気づく。そのために、言葉を変えたり、違う角度から話したりしながら、少しずつ本人の気持ちを動かしていきます。

ただ、やわらかく話すだけでは伝わらないこともあります。ある程度は、はっきり言わなければいけない。

その方の性格や状況を見ながら、言葉を選びます。

笠原

条件や理想を変えるにも、時間が必要なのでしょうか。

和田さん

急には難しいですね。時間をかけて、少しずつ話します。

たとえば「普通の人でいい」と言いながら、年収、学歴、身長、見た目、会話力など、すべてに平均以上を求めている方もいます。

でも、その条件をすぐに否定するのではなく、「なぜ高い年収が必要なのか」と理由を聞きます。

親御さんのお金の問題で苦労し、もう二度と経済的な不安を抱えたくない方もいます。自分自身が仕事を頑張ってきたからこそ、同じように努力してきた相手へ魅力を感じる方もいます。

条件の奥には、その人の経験があります。まずはそこを聞く。

そのうえで、「すべてを満たす相手は難しいけれど、どれを一番大切にしたいのか」と一緒に考えていきます。自分にとって当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではないと気づいてもらうことも必要です。

「素直な人は結婚していく」

笠原

結婚へ進みやすい方には、どのような共通点がありますか。

和田さん

アドバイスを一度受け入れることや、柔軟性があること。聞く耳を持つことだと思います。

素直な人は結婚していく」というのは、仲人の間でも意見が一致するところですね。

笠原

婚活における「素直さ」とは、どのようなものでしょうか。

和田さん

自分にはなかった視点を、まず一度受け止めてみるということです。

笠原

仲人の提案どおりに行動することとは違いますか?

和田さん

違います。言われたとおりにすることが、素直さではないと思っています。

私がプロフィール交換会でお相手を探してきたからといって、「せっかく見つけたのだから会いなさい」とはまったく思いません。タイプが違うと感じたら、断ってもらって構わないんです。

ただ、自分にはなかった考え方や選択肢を、最初から否定せずに、一度受け止めてみてほしいとは思います。そのうえで自分がどうしたいのかを考え、最後は本人が決めることです。

私たち仲人の役割は、会員さんの代わりに決断することではなく、選択肢を増やすことです。プロフィール交換会でお相手を探したり、婚活パーティーへお誘いしたり、仲人同士のつながりからご紹介したりする。会員さんがシステム上で活動するだけでは得られない情報を集め、ご縁につながる可能性を広げていきます。

システムを使うだけなら、相談所ごとの差は生まれにくいと思います。だからこそ、システムの外側で、会員さんのために何ができるかを大切にしています。

笠原

そう考えると、「素直さ」とは仲人の言葉に従うことではなく、自分にはなかった可能性をすぐに閉ざさない姿勢なのですね。

和田さん

そうですね。そこには、謙虚さや柔軟性も含まれると思います。それから、うまくいかなかったときに気持ちを切り替え、次へ進む力も必要ですね。

笠原

反対に、そうした素直さを邪魔するものは、プライドでしょうか。

和田さん

それもあると思います。

ただ、人はそんなに簡単には変わりません。初めは希望が高くても、何度か話す中で少しずつ考え方が変わっていく方もいます。

「あ、この方は人の話を一度受け止められるから、これから少しずつ変わっていくな」と感じることがあります。反対に、何度話しても、自分の考えだけに固執してしまう方もいます。

笠原

では、なかなか考え方を変えられない方は、結婚につながりにくいのでしょうか。

和田さん

素直さは成婚しやすさに関係しますが、素直でなければ結婚できないというわけでもありません。

結婚相手はたった一人です。その一人を探していけばよくて、反対に言えば、活動の中で出会うほとんどの人とはご縁がなくて当然なんです。

だから、一つひとつの結果にこだわりすぎず、もう少し気楽な気持ちで活動してほしいと思います。

取り次ぐだけでは、ご縁は育たない

笠原

今は結婚相談所の数も増えています。和田さんは、これからどのような仲人が増えてほしいと思いますか。

和田さん

お見合いを取り次ぐだけではなく、交際中も双方の相談所がきちんと連携できる仲人ですね。

交際中、お互いがどのように感じているか。どんなことで悩んでいるか。相談所同士で共有することで、すれ違いを防ぎ、成婚まで進められることがあります

でも、そうしたやり取りがほとんどない相談所もあります。

笠原

同じ「結婚相談所」でも、支援内容には差がある。

和田さん

かなりありますね。

入会時の営業担当と、実際の担当者が違う相談所もあります。相談できる回数が決まっていて、それ以上は追加料金が必要なところもある。担当者が非常に多くの会員を抱えている場合もあります。

でも会員さんが相談したいのは、たいてい「今」なんです。

交際中に気持ちが揺れているのに、予約できるのが1週間後では、そのときには状況も気持ちも変わっています。

ホームページがきれいだから、大手だから安心というわけではありません。実際に担当する人が誰なのか、どこまで相談できるのかは、入会前に確認した方がいいと思います。

笠原

外からは、実際のサポートが分かりにくいですよね。

和田さん

そうなんです。

私の周りには、会員さんのために本当に一生懸命動いている仲人がたくさんいます。でも、そういう相談所ほど、ホームページで上手に見せることが得意ではなかったりする。

AIやマッチングアプリが発達しても、現場で会員さんと向き合いながら積み重ねてきた経験は、簡単に置き換えられません。

人と人の間に入り、少しの違和感や気持ちの変化を拾いながら、ご縁を育てていく。そういう仲人が増えてほしいですね。

和田さんと仲人さんたち
仲人さん達とのお写真

自分が欲しかった相談相手に、今度は自分がなる

笠原

和田さんは現在、若い仲人さんの育成にも力を入れています。どのような思いから始めたのでしょうか。

和田さん

私自身、独立した当初に、誰へ相談すればよいか分からなかった経験があるからです。

大手の結婚相談所3社でカウンセラーとして働いた経験はありました。でも、自分で相談所を運営するのは初めてでした。

システムの使い方だけではなく、ほかの相談所とのやり取りや、幅広い年代の会員さんへの対応など、いろいろな壁にぶつかりました。

そのとき、「こういうときに何でも聞ける人がそばにいたらよかったのに」と思ったんです。

笠原

その経験が、今の育成につながっている。

和田さん

そうですね。

仲人の仕事には、マニュアルに書かれていないことがたくさんあります。私にとっては自然に対応していることでも、始めたばかりの方は、そこで立ち止まってしまうことがある。

人と向き合う仕事なので、精神的に疲れることもあります。集客だけでなく、会員さんを支える力も必要です。

頑張りたい仲人さんが、分からないことやつらさを抱えたまま辞めてしまうのは、もったいない。だから、話を聞き、自分の経験を伝えることで、少しでも長く続けてもらいたいと思っています。

これまで自分が積み重ねてきたことを次の世代へ残す。それが、これからの自分の役目の一つだと思っています。

何も変わらないまま後悔するなら、まずは動いてみる

何もしないで後悔するなら、やって後悔しようよと思うんです

取材の最後、婚活を始められずにいる人へ伝えたいことを尋ねると、和田さんはそう話した。

結婚が頭の片隅にあるのなら、まずは1年間、婚活に向き合ってみる。何もしなければ、今の生活は変わらない。10年後も、今と同じ景色が続くとは限らないからだ。

一方で、動き始めれば、すぐに思いどおりの相手と出会えるとは限らない。断られたり、自分の考えを見直したりしなければならないこともある。

そんなとき、一人で抱え込まないように、そばで支えることが仲人の役目なのだろう。

なぜうまくいかなかったのかを一緒に考える。本人がまだ気づいていない魅力を見つける。プロフィールの条件だけでは出会えない相手を、仲人同士の信頼関係から探してくる。

そして、ほかの仲人へこう伝える。

この人、本当にいい人なのよ

その一言から、これまで画面の中で見落とされていた人が、誰かの人生にとってかけがえのない一人になることがある。

和田さんがつないでいるのは、条件と条件ではない。

一人の人と、その人を必要としているもう一人とのご縁だ。

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