「結婚させてあげる」ではなく、「自分で決める」を支えたい。エンジェルウイング朝日恵子さんが会員さんに正直に向き合う理由

千葉市の結婚相談所「エンジェルウイング」代表・朝日恵子さんに、会員さんが自分で考え、自分で決められるように支える婚活支援について伺いました。

〈聞き手=笠原 佳介〉

今回話を聞いた人

朝日恵子
朝日 恵子
Keiko Asahi

結婚相談所「エンジェルウイング」 / 代表・仲人

千葉県千葉市の結婚相談所「エンジェルウイング」代表。2000年8月の設立以来、少人数制で一人ひとりに向き合う婚活支援を行っている。離婚相談のカウンセラー経験も活かし、会員の自主性を尊重しながら、「ご縁を育む」ことを大切にしている。

婚活では、誰かに「正解」を教えてほしくなる瞬間があります。

この人でいいのか。
どう動けばいいのか。
何を変えれば、うまくいくのか。

けれど、千葉市の結婚相談所「エンジェルウイング」代表の朝日恵子さんは、仲人の役割を「結婚させてあげること」だけだとは考えていません。

大切なのは、会員さん自身が自分の気持ちに向き合い、自分で考え、自分で決めていくこと。時には必要なことを正直に伝えながらも、その人の可能性を奪わない関わり方を大切にしています。

その考えの背景には、子どもの頃に「お節介がすぎる」と言われた経験、離婚相談の現場で見てきた夫婦のすれ違い、そして朝日さん自身の人生経験がありました。

今回は、エンジェルウイングの朝日恵子さんに、会員さんに正直に向き合う理由と、“自分で決める”婚活支援への想いを伺いました。

探偵事務所の相談員から、結婚相談の世界へ

笠原

まず、朝日さんが結婚相談のお仕事を始められたきっかけを伺ってもよろしいでしょうか。

朝日さん

もともとは、ある探偵事務所で相談員をしていたんです。離婚を考えている方のお話を聞いたり、弁護士さんにつなぐ前に「なぜ離婚したいと思うところまで来たのか」を整理したりするような仕事でした。

その会社の社長が、ブライダル事業も始めることになったんです。結婚を考えるうえで、相手の背景や生活について不安を感じる方もいる。そうした不安に向き合う延長として、ブライダル事業を始めることになったのだと思います。

その時に、その事業の責任者になったのがきっかけです。

笠原

その時は、もともと仲人という仕事に興味があったわけではなかったのですか。

朝日さん

そうですね。本当にその時、初めて知りました。「仲人という仕事があるんだ」と。

私は人の話を聞くことが好きでしたし、人のためになること、喜んでもらえることは嬉しいんです。だから、「こういうお手伝いもできるんだ」と思って、少しワクワクしました。

最初から「仲人になりたい」「人と人を結びつけたい」という強い志があったわけではないんです。でも、振り返ると、子どもの頃から人のお世話をすることは自然にやっていたのかもしれません。

創業初期に掲載された新聞紙面
創業初期に掲載された新聞紙面

「お節介がすぎる」と言われた少女が、大人になって気づいたこと

笠原

子どもの頃から、人のお世話をすることが自然だったんですね。

朝日さん

私は長女で、弟が三人いるんです。母が働いていたので、母親代わりのように弟たちの面倒を見ていました。

小学校5年生の時だったと思うのですが、通知表に「お節介がすぎる」と書かれたことがありました。当時の私は、その言葉を「あなたはダメなことをしている」と言われたように受け取って、すごく傷ついたんです。

自分では、人のためになると思ってやっていたんですよね。できない子がいたら手伝ってあげる。それがいいことだと思っていた。でも先生からすると、それはやらなくていいことだったのかもしれません。

笠原

その言葉は、今の支援にもつながっているのでしょうか。

朝日さん

つながっていると思います。

ずいぶん経ってから、「お節介がすぎる」という言葉の意味を考えるようになりました。もしかしたら先生が言いたかったのは、「あなたが先にやってしまったら、その人が挑戦する機会を奪ってしまうよ」ということだったのかなと。

できるかもしれないのに、先回りしてやってあげたら、その人は自分でできるようにならないかもしれない。そう考えるようになったんです。

仲人の仕事も、同じところがあると思います。全部お膳立てして、「結婚させてあげる」ということではないんですよね。

結婚したい。
結婚する。
その覚悟を持って結果を取るのは、やっぱり本人なんです。

だから私は、会員さんが「結婚する」という結果を自分で取れるように応援したいと思っています。

正しさではなく、本心として伝える

笠原

朝日さんは、会員さんに必要だと思うことは正直に伝えるとお話しされていました。その時に大切にされていることはありますか。

朝日さん

まず、なるべく対面で話すことは大切にしています

コメントや文章だけで伝えると、誤解が生まれたり、こちらの思いが思った通りに伝わったのか分かりづらかったりします。対面であれば、相手の表情を見ながら話せますし、「少し違う伝わり方をしたかな」と感じたら、その場でフォローもできます。

笠原

厳しいことを伝える時に、「これは言うべきだ」と判断する基準はありますか。

朝日さん

難しいですよね。これを言ったら嫌な空気になるだろうな、と思うこともあります。

でも、私はたぶん顔に出てしまうタイプなんです。隠しておけないんですね。

だから、相手のためだと私が思った時には、「私はそう感じたよ」と伝えます。もちろん、私が正しいということではありません。間違っている可能性もあるかもしれない。でも、「私はこう感じた」という本心として伝えるようにしています

笠原

正しさとして押しつけるのではなく、本心として伝えているんですね。

朝日さん

そうですね。

私が伝えたことで、その時は嫌な思いをしたり、感情が高ぶったりすることもあると思います。でも、それを受け止めた時に、「では自分の行動や言葉が変わったら、次に起こることも変わるかもしれない」と考えてみてほしいんです。

すぐに気づく方もいますし、すぐには気づかない方もいます。ただ嫌なことを言われたと思うだけの方もいるかもしれません。

でも、何年か経ってから「あの時は頭にきたんだよね。でも言ってくれてありがとう」と言ってくださる方もいます。人が気づくまでの時間は、それぞれ違うんだと思います。

「朝日さんに聞いても答えは出ない」と思えた時、自分で動き始める

笠原

朝日さんは、会員さんとはどのような対話を重視していますか。

朝日さん

私が答えを与えるというより、本人が自分で考えるようにカウンセリングをしています。

人に言われたことをやるだけだと、失敗しても成功しても、自分のものになりづらいと思うんです。

もちろん、「それはいいかもしれない」と納得してやってみることもあります。でも、本当に人が成長したり、自信をつけたりするのは、自分で考えて、自分で決めて、行動した時だと思うんですね。

自分で考えてやったことが失敗したら、「なぜダメだったのか」を考えられます。成功したら、「自分で考えて行動したからできた」と自信になります。

だから私は、会員さんが「朝日さんに聞いても答えは出ない、自分で決めるしかない」と思えた時が、カウンセリングとしては一つの成功だと思っています。

笠原

「自分で決めるしかない」と思えた時ですか。

朝日さん

はい。

私はよく、「じゃあ、どうしたいの?」と聞くんです。そうすると、最初は「どうしたいって言われても……」となることもあります。

でも、ずっと聞いていると、「朝日さんに聞いても答えは出ないんだな」「自分で考えるしかないんだな」と気づいていくんです。

そうやって初めて、自分で考えたことをやってみる。その時に、本人の行動が始まるのだと思います。

笠原

「導くこと」と「本人が決めること」のバランスは、どのように考えていますか。

朝日さん

結婚という目的に向かっていることは同じです。ただ、こちらの思いだけでもいけないし、ビジネスとして結果だけを優先しても違うと思っています。

どちらか一方が強くなりすぎると、バランスが崩れてしまうんですよね。

私は、思いを優先したいです。そのうえで、結果がついてくるのが一番いいと思っています。

条件が変わっても、一緒に頑張れるか。離婚相談の現場で見てきた結婚の現実

笠原

朝日さんは、離婚相談のカウンセラーとしてのご経験もお持ちです。その経験は、今の婚活支援にどのように影響していますか。

朝日さん

結婚したい方に「理想の相手はどんな人ですか」と聞くと、やっぱり皆さん幸せになりたいと思っているので、条件に目が向くことが多いです。

年収、見た目、性格、家柄。いろいろありますよね。幸せになるために必要なものを考えると、たくさん出てくるのは自然なことだと思います。

でも私は、それが全部なくなった時に、一緒に頑張れるかを考えます。

たとえば、年収が高い方でも、体を壊して働けなくなるかもしれません。仕事がうまくいかなくなって、収入が下がることもあるかもしれません。その時に、「この人とやっていく」という覚悟と認識を持てていれば、自分のこととして解決方法を考えられると思うんです。

でも、「その条件があったから結婚したのに」という気持ちがどこかにあると、条件がなくなった時に頑張れなくなってしまう。

離婚相談でいろいろな方のお話を聞いていると、表面的にはいろいろな理由が出てきます。でも根本には、そういうところがあるのではないかと感じることがあります。

笠原

結婚前に大切にしてほしいことは、条件だけではないということですね。

朝日さん

そうですね。

もちろん、最初から離婚を心配して結婚するわけではありません。みんな幸せになろうと思って結婚します。

でも、結婚する時の気持ちや覚悟で、その先は大きく変わるのではないかと思っています。

この人と一緒に生活を作っていく。何かが起きた時にも、自分もその状況を作っている一人だと考えて、できることを探していく。

そういう認識があるかどうかは、とても大切だと思います。

もちろん、相手から一方的に傷つけられる関係まで我慢するという意味ではありません。

事柄ではなく、気持ちに正直に話し合う

笠原

結婚前に話し合っておいた方がいいことには、どのようなものがありますか。

朝日さん

一番は、家族として協力し合えるかどうか。あとは、話し合えるかどうかだと思います。

金銭面もそうですし、家族との関わり方、記念日を大切にするかどうか、休日の過ごし方など、本当にいろいろあります。

たとえば、家族の誕生日や記念日を大事にしたい人もいれば、「そういうことは別にしなくてもいい」と思う人もいます。どちらが正しい、間違っているということではありません。

でも、その違いを話し合えていないと、「お父さんは冷たいよね」「お母さんはそういうことを大事にしないよね」と、少しずつすれ違っていくこともあると思います。

笠原

「何を大切にしたいか」が違う時に、それを話し合えるかが大事なんですね。

朝日さん

そうですね。まとめると、正直に話し合うことだと思います。

相手を傷つけるためだけの言葉なら、言わない選択もあると思います。ただ、本当に大切な気持ちまで飲み込んでしまうと、すれ違いは大きくなっていく。

だから、気持ちは正直に話した方がいいと思うんです。

「あなたがこれをやってくれない」という事柄だけではなく、「それをされると悲しい」「つらい」「私はこういうことを大切にしたい」という思いに対して正直に話すこと。

事柄ではなく、気持ちに正直に話し合うことが大切なのだと思います。

自分で決めた経験は、その後の人生にもつながっていく

笠原

会員さんが「自分で決められるようになってきた」と感じる瞬間はありますか。

朝日さん

結婚という結果だけではないんです。

もちろん、結婚を決める方もいます。でも中には、相談所を辞めるという決断をする方もいます。

ある方は、親御さんに言われて婚活を始めました。でも、ご本人の気持ちはなかなか動かなかったんです。申し込みもしないし、申し込まれても受けない。私は「したいの?したくないの?」と何度も聞きました。

その方は、親のことを考えると結婚しなければいけないと思っていたんですね。でも最終的には、「自分はこういう生き方をしたい」とはっきり分かったので、親にもそれを伝えて、相談所を辞めると決めました。

笠原

それも、自分で決めたということなんですね。

朝日さん

そうです。結婚という結果ではありませんでしたが、自分でちゃんと決められたんです。

その後、その方は長く続けていた仕事も変えたそうです。ずっと辞められずにいた仕事を、自分で決めて変えたと報告してくれました。

婚活を通じて、自分がどうしたいのかを考える。その経験は、結婚だけではなく、その後の人生にもつながっていくのだと思います。

仲人は、家族のように耳を傾ける存在

笠原

朝日さんにとって、仲人の役割とはどのようなものですか。

朝日さん

お母さんのようであり、お姉さんのようであり、叔母さんのようであり、妹のようでもある。そんな存在かなと思います。

家族って、時にははっきり言ってくれるじゃないですか。言われた時は煙たく感じることもあるけれど、後から「そういえば、あの時あんなことを言われたな」と気づくこともありますよね。

そういう関係がいいのかなと思います。

笠原

良い仲人さんとは、どのような仲人さんだと思いますか。

朝日さん

良い、悪いでは考えられないと思っています。

ある人には合う仲人さんでも、別の人には合わないこともありますよね。だから、絶対的に「いい仲人」「悪い仲人」とは言えないと思います。

ただ、もし一つ挙げるのならば、話を聞ける人ではないでしょうか。

耳で聞くだけではなく、その人が本当に何を思っているのかを聞ける人。
そういう人であることは、大切なのかなと思います。

結婚後の人生まで見据えて

エンジェルウイングの支援は、手取り足取り「結婚させる」支援ではありません。

必要なことは正直に伝える。けれど、答えを代わりに決めることはしない。最後は本人が自分で考え、自分で選び、自分の人生として結婚に向き合えるように支える。

朝日さんの言葉は、時にまっすぐで、耳が痛いこともあるかもしれません。けれどその根底には、相手の人生を代わりに決めない優しさがあります。

やってあげることが、必ずしもその人のためになるとは限らない。
だからこそ、朝日さんは問いかけ、必要な時には本心を伝える。

婚活を通じて自分自身と向き合い、結婚後の人生まで見据えて一歩を踏み出したい人にとって、朝日さんは、温かくも正直に伴走してくれる仲人さんなのだと思います。

インタビュー中の朝日さん
エンジェルウイングの朝日恵子さんでした

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